芥川
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AUTHOR: sui-en
TITLE: 芥川
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DATE: 05/05/2006 12:37:00 AM
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この時代は、まだ遣唐使も行き来していて唐風の文化に影響されてて国際都市平安京に遷ったばっかりの華やかで本土で戦争もあった時代ですね(アテルイとの闘い)。おおらかで泥臭くて、大陸との国際的な交流があって、かなり半島的な考え方と生活をしていたのでしょう。今はだいぶ忘れてたけど、実際に家系図をかけました。そのくらい、調べたなあ。おもしろくて、年代を全部追っていって人間関係の相関を考えて、…謎解きみたいに。ミステリーね。
――こういうのが、おもしろい。ミステリーや暗躍を解いて行く。以前、道長の話を書きましたね。あれを思い起こしてみてください。ここに出てくる藤原氏は、道長のちょっと先祖(ひいおじいさんとか)の話です。
「本当に『伊勢物語』の男は業平で、この事件は実話との相関があるのか?」
私の結論は、下のものです。
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業平の話を。
だいぶ、遅くなったけれど。
…。裏はありませんので。ただ無性に書きたくなったというだけで。
ここのところ、そういう衝動、欲求に襲われるんです。
なぜだろう?
在原業平(ありわらのなりひら)は、平安初期の歌人で百人一首にも取られている高名な歌人だけれど、それよりもハンサムでモテモテだったことで有名。あの源氏物語の光源氏のモデルになった、といえば分かりやすいだろうか。
業平は平城天皇(へいぜいてんのう)の直系の孫にあたる。
業平の父は阿保親王(あぼしんのう)、母は桓武天皇の娘のひとり、伊都内親王(いつないしんのう)。
平城天皇は桓武天皇の長子なので、おばとおいの結婚ということになるが、当時は皇族同士の結婚はあたりまえで、おじおばの結婚なんかざらというか妥当なくらいの意識だったんじゃないだろうか。道長の娘たちはみんなおいとおばの関係で結婚している。そんなんばっかし。
阿保親王には兄がいて、皇太子になったことがある。ところが薬子の乱が起こって、平城天皇は事実上政治で失脚してしまったので、高岳親王(たかおかしんのう)というその皇太子は出家してインドに行ってしまった。
が、ベトナムあたりで病気になって亡くなったらしい。当時にしては波乱万丈の人生をこの皇太子は送ったわけだ。
そして、その兄の影にいて、さらに政局はおじである嵯峨天皇(さがてんのう)の子・仁明天皇(にんみょうてんのう)の直系の子孫へと連なっていくのを見つめている阿保親王の子として生まれたのが業平だった。
業平には兄がいて行平という。(他にも異母兄弟がいる)
両方とも臣籍(しんせき)に下って臣下になってしまった。
姓名を賜る、ということは、すなわち、天皇になる資格がない、ということだ。…そうはいっても僧籍にあったのに呼び戻されて天皇になった人がたしかどこかにいたような気がするけれど。
つまり、業平は臣下になってしまったからには皇族ではなくなったということだ。世が世なら、天皇になっていたかもしれない生まれながら。
そうして、「伊勢物語」の「芥川」のくだりを眺めてみよう。…覚えてる範囲でね。
男――と「伊勢物語」の中では言われている。「今昔物語」もそう。
代名詞といっしょだ。「彼は」という変わりに「その男は」という。
男は、さるお屋敷にひそかに通っていた。
女は屋敷で大切に育てられた姫君だったので、人目を気にしながらのひっそりとした逢瀬を重ねる。
ところが、屋敷の者がそれに気づいて警備を頑丈にするので、なかなか逢えなくなってしまう。
天皇に入内させるための政治的な意図のある姫君だった。
恋しさまさって想いは募り、思い余って男は女を盗み出す。
夜ふけにかぐわしい姫君を背に負い、かき抱いてひたすら夜道を走る。
女は、深窓に暮らし外の世界を知らずに育った。
男がもたらす外の世界の話を聞くのがおもしろく、興味を引かれた。そうして今夜外へ出た。
眼にするものすべてが珍しくおもしろい。逃げていることなど忘れてしまいそうなときめきに似た喜び。
それほどに女は幼く外を知らなかった。
夜、薄明るい月が照らしては雲にかげる。
夜露に濡れた草むらを横目に男は追っ手を気にしながら走り続けた。
ふいに、背に負うた女が男の耳元で囁くように問いかけた。
指さして、小さくつぶやくように言う。
「あれは、なあに? あの、光る珠は?」
男は息を切らして、焦りと疲れに気が気でなかった。
「いま、この女を奪い返されたら二度と会えない。」――手の届かないところに行ってしまう。
その実感を持っているのは男だけで、この女の無邪気さに苛立ちさえ覚える。
…息が切れる。そうして、疲れと寒さで手足から力が抜けていく。
折悪しく空は荒れ、崩れ、雷がとどろき始める。
男は雨を避け、どっと倒れこむようにして廃屋に逃げ込んだ。
しかし、じりじりと迫り来るような気配をどこからか男は感じ続けていた。
女を家の奥に隠して、男は家の外に立って守りについた。
夜通し守り抜けば、――この夜を越えれば女を奪い返されることはない。そう、思って。
白々と夜が明ける頃、夜通し守りについていた男の消耗した身体は重く、しかし、追っ手は来なかったとほっとして家の中に入る。
扉を開けると、暗い中に一人置いた女の姿が、ない。――どこに? 焦ってそこいらじゅうを探してみるけれど、どこにもいない。
どこにも行きようもないほどの狭いあばら屋。どこに行くというのだ?
体から力が抜ける。守り抜いた、…そう思ったのに、束の間、かき抱いた女の身体は今は手の中にはなく、夜の闇とともに消えてしまった。
悔やんで、あばら屋のささくれ立った板の間をしたたかに蹴りつけると、破れた板縁が音を立てて廃屋に響いた。
床のすき間から青々とした草が覗いている。
――あの時、背負った女が耳元で問うた声が蘇る。
「あれは何?」
かぐわしい香りも衣の重みも今は手の内にはない。
「あれは、露だ。――露というのだよ。」
後悔したけれど、時既に遅く、女はもういない。
露のように儚く消えてしまった。
女は夜の間に鬼に喰われてしまったのだという。
…この話には後日談がある。
男は業平だといわれている(※史実ではないと思われる)。そうして、女は摂政藤原良房の養女で清和天皇の后になった、高子(たかいこ)だといわれている(※史実ではないと思われる)。
鬼が喰らった、というのは高子の兄たちが妹を取り戻しに来たのだ、と、巷の人たちは言っていたそうだ。――というのは、良房と高子の兄・基経(もとつね)の脚本だろう。
高子とその子・陽成天皇(ようぜいてんのう)失脚をもくろんでのたくらみ。権力を追い求め、そのために娘も孫も何もかも思い通りに操ろうとする人たちの思惑。そのためにデマを飛ばしたんだろう。物語という構造を使って、后をけがした。くだらない、俗物。
――では、史実の良房、基経はどうなったのか? (※確認してないんで、誤りがあったらごめんなさい!)
人を呪わば穴二つ。運命は、とても皮肉だ。良房には、もともと明子という美貌の娘がひとりいただけだった。だからこそ、甥、姪である基経、高子を養子にした。基経は俊才で、高子は寵愛を受け天皇を生む。しかし、――基経の娘は早逝する。高子は良房・基経ラインには乗らない。摂関政治は、良房・基経ラインで一旦頓挫している。
彼らは世の中の何もかも自分の思い通りに行くとおもっていたし、思い通りにいかせるつもりだったのかもしれない。けれど、運命はそんな風には決して流れていかなくて、もっともほしいものを与えなかった。
高子も明子も鬼に魅入られて、鬼と通じたという今昔物語の説話が残っている。
狂気のふるまいか、それとも間男か。…そうだろうか? 政治的に失脚させられ、その演出としての鬼ではないのか? 高子が先にその餌食にされ、スケープゴートとして明子も…。
もっとも愛する者を生贄に差し出すのが神との契約にはありがちな話で、そして、悪魔に魂を売った者は、愛する者でさえ贄に出す。――本当に、神なのか、神を騙る悪魔なのか。悪魔と神は近似するものなのか。いや、…神も悪魔も人の心の中に棲むのなら、人の心こそが残酷な妄想に満ちていて、そうして、自らを滅ぼす黒魔術に身を投じているんじゃないだろうか。
人を呪うな、人を尊べ、…というのは、人のためじゃない。…自分自身がどろどろに腐ってしまうから。
人を呪わば穴二つ。誰も、誰かを呪うことなんてできない。裁くこともできない。いっしょに考えていったり提案したりすることはできる。それくらいのもの。
結局、人が人の形を成しているためには、中身に人間を宿しておかなくちゃいけないんだ。きっと。それだけの、ことだよ。誰かのためじゃなく、自分のために自分を大事にした方がいい。――それを見失ったら、堕ちる。
「伊勢物語」の「芥川」のくだりを、私流の解釈で脚色して。
(4月後半までに記述。これの最初のメモは大昔過ぎて思い出せません。学生の頃ですねー。メモは大量に残ってる。相変わらず読み返してないけど。)
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暗喩ではありません。かんぐりすぎないでくださいね。みなさん!
一時期「伊勢物語」にのめりこんだことがあって、略年表とか作って人物相関図とかねー、いろいろ調べてたんですよ。伊勢の斎宮とのくだりなんて、…すさまじいです。
なにか、表現することで自分を取り戻す瞬間がある、というようなことを何かで聞いたことがあるけれど、…そうかもしれない。私は、書くことで取り戻してる気がする。だから、…前も言ったなあ。
書かずにはいられないという、それだけのことだ。
余計なことを言っているのかもしれない。見当違いなのかもしれない。人を傷つけることもあるかもしれない。未熟なものを曝しているのかもしれない。それでも、書かずにはいられない。スランプ…はあるのかどうかわからないけど、…まあ、かけてるのかかけてないのか、わかんないこともある。
それでも、書かずにはいられないし、そうじゃなければ絵を描きたくなるし、粘土をこねたくなるし、お菓子やパンや料理や縫い物や、…そういうものをしないではいられなくなる。
何かを生み出し続けなくてはいられない。無性に。存在を示すかのように。エネルギーを放出するかのように。自分に酔ってる? そう、酔ってるの。酔っ払いだもの。始終そんなもんだよ。それで、結構。しらふで言ってもこたえやしない。ほろ酔い加減でいられれば、これほどのしあわせはないよ。
(一部削除)
(4/23 00:39am)
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